大判例

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東京高等裁判所 昭和26年(う)1265号 判決

記録に徴すると、原審第二回公判において久住昌一が証人として訊問せられた後検察官が右久住昌一の供述の証明力を争うため同人の副検事に対する第一回供述調書の取調請求を行い、弁護人等は同書面を証拠とすることに同意しなかつたが、裁判所はこれを刑事訴訟法第三百二十八条に該当する書面と認めて採用しその証拠調を施行したこと明らかであり、また原判決が被告人に対する原判示犯罪事実認定の証拠の一つとして同供述調書を掲げていることも所論のとおりである。そして刑事訴訟法第三百二十八条により証拠とされた書面をもつて直ちに犯罪事実認定の証拠とすることができないことはいうまでもない。尤も前記久住昌一の副検事に対する供述調書について被告人がこれを証拠とすることに同意しない場合でも、検察官が刑事訴訟法第三百二十一条第二号所定の条件を充すことを主張してその取調を請求し、且つ右条件充足の事実が認定されたときは、裁判所はこれに証拠能力を与え犯罪事実認定の証拠として採用しても、もとより差支えなかつたのであるが、記録に徴しても同供述調書につき原審においてかかる措置がとられた形跡は何ら発見できない。なおまた、原裁判所は原審公廷における証人久住昌一の供述中、同人の副検事に対する供述調書によりその証明力を争われた部分を除きその余の部分だけを証拠とするということも可能であつたであろうが、原判決書の記載に徴すると原裁判所がかかる措置をとつたと解することもできない。

従つて原判決には証拠能力のない書面を犯罪事実認定の証拠としたという違法の廉があるものと判断するの外なく、且つこの違法は判決に影響を及ぼすこと明らかであると認められるから原判決はこの点において破棄を免れない。

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